
地方で家を建てたいと考えたとき、真っ先に気になるのが費用のことです。土地代が安いとはいえ、建築費用や設備の選び方によって総額は大きく変わります。また、都市部とは異なる条件も影響します。ここでは、地方で注文住宅を建てる場合の相場や、予算に関する考え方、無理なく家づくりを進めるポイントを紹介するので参考にしてください。
CONTENTS
建築費の目安を知ろう
地方で注文住宅を建てる際の費用は、一般的に都市部よりも安く済む傾向があります。
建物本体価格と坪単価
注文住宅の価格は、延床面積に応じた「坪単価」で語られることが多くあります。全国平均では1坪あたり80〜90万円ほどですが、地方ではこれより安く、60〜70万円程度で建てられるケースも見られます。
ただし、価格だけで判断するのではなく、断熱性能や構造のグレードにも注目が必要です。寒冷地や積雪の多い地域では、構造補強や断熱材の種類などにコストがかかる場合があります。
たとえば基礎部分を高く設ける必要がある地域では、数十万円単位で建築費が上乗せされることもあります。
土地の価格と条件
土地代は地方では比較的安価ですが、地域や立地によってばらつきがあります。郊外や農村部では1000万円以下で広い土地が手に入ることもありますが、インフラの整備状況や地盤の状態などが、最終的な工事費に影響することがあります。
また、浄化槽の設置や雪かきのしやすさなど、地域特有の要素も含めて判断することが大切です。水道の引き込み工事やガスの配管延長が必要になることもあるため、土地選びの際は建築会社と相談しながら慎重に進めると安心です。
予算内に収めるための工夫
費用を抑える工夫を知っておくことで、安心して家づくりに取り組むことができます。
シンプルな間取りと形状
住宅の形や間取りが複雑になるほど、施工に手間がかかり費用も増加します。無駄な廊下や複雑な構造を避け、四角いシンプルな設計にすることで、コストの抑制と住みやすさの両立が可能です。
とくに平屋を選ぶ人も多く、階段のない暮らしや家族の動線が短いことから、長期的な住みやすさにもつながります。最近では中二階を設けたスキップフロアのある間取りも人気がありますが、予算に余裕がない場合は避けた方が無難です。
水回りの配置と設備の選び方
キッチン・バス・トイレといった水回りを一か所にまとめると、配管工事が簡素になり費用の削減が期待できます。
また、設備の選定でもグレードにこだわりすぎず、必要な機能に絞って選ぶことが予算内に収めるポイントです。省エネ性能の高い設備は初期費用は高めでも、光熱費の削減につながり長期的にはお得になることもあります。
近年では太陽光発電や蓄電池の導入も増えており、長期的な光熱費削減を見込んで検討する人もいます。
補助金制度や住宅ローン控除の活用
地方自治体では、移住者向けの住宅取得支援や子育て世帯への補助金が用意されているケースがあります。新築やリフォームで対象になる制度を事前に調べておくと、実質的な負担を大きく減らすことが可能です。
また、住宅ローン減税やフラット35の金利優遇なども活用すると、資金計画が安定します。自治体によっては、工務店との契約が補助の条件になる場合もあるため、確認しておくとスムーズです。
地方ならではの家づくりの視点
地方に家を建てる際には、単なる費用面だけでなく、暮らしの質や将来のライフスタイルまで見据えて設計を進めることが求められます。
自然との調和を意識した設計
自然に囲まれた環境では、風通しや日当たりを考えた設計が住み心地を左右します。たとえば大きな窓で光を取り入れたり、軒を長めにとって夏の暑さをやわらげたりと、土地の特徴を活かす工夫が大切です。
自然素材の使用や外観デザインも、景観との調和を考えるとより豊かな空間が生まれます。庭づくりや家庭菜園のスペースを設けるなど、都市部では得がたい生活の楽しみを取り入れる人も増えています。
ライフラインや交通アクセスの確認
地方では、都市部のような公共交通機関が整っていない地域も多くあります。通勤・通学の利便性や買い物のアクセスも、暮らしの満足度に関わってきます。また、都市ガスがないエリアではプロパンガスやオール電化を選ぶ必要があるなど、ライフラインの選択肢も変わります。
生活インフラの確認は、住宅設計と並行して進めることが望ましいです。地域によっては除雪作業や防風対策が必要になる場合もあるため、周辺環境も含めて事前の下調べが重要です。
将来を見越した可変性のある間取り
家族構成の変化やライフステージの移行に合わせて、使い方を変えられる間取りがあると長く快適に暮らせます。子ども部屋を仕切れるようにしたり、将来的に平屋として使える設計にするなど、柔軟性のある家づくりが注目されています。
リフォームしやすい構造にしておくことも、住み続けるうえでの安心につながります。自宅での仕事や趣味のスペースなど、多目的に使える部屋をあらかじめ確保する例も増えています。
まとめ
地方で注文住宅を建てる場合、都市部に比べて土地代や建築費が安く済む可能性が高いです。しかし、地域特有の条件や工事内容によっては予想以上に費用がかかることもあります。費用の内訳を理解し、シンプルで無駄のない設計を心がけることで、予算内で理想の住まいを実現しやすくなります。また、補助金制度やローンの優遇措置を活用しながら、将来的なライフスタイルも視野に入れた家づくりが大切です。単に安さを追求するのではなく、安心して長く暮らせる家を目指し、地元の工務店や設計士とじっくり相談を重ねながら計画を立てていきましょう。