
「南向きの家は建てるべきではない」といわれることがありますが、実際は一概にそうとは限りません。南向きには日当たりがよいという大きなメリットがある一方で、デメリットも存在します。本記事では、南向きの家の利点・欠点を解説していきます。これから南向きのマイホームを建てたい方の参考になれば幸いです。
CONTENTS
南向きの家は建てるべきではないとされる理由
一般的に南向きの家は非常に人気ですが、メリットばかりとは限りません。
ここでは、南向きの土地にこだわるとどのようなデメリットがあるのか、建てるべきではないとされる理由について解説します。
人気のために高額になりやすい
南向きに面した土地は人気であるがゆえに、土地取得費用が高額になりやすいデメリットがあります。
土地の方角も重要ですが、土地にお金をかけてしまい、建物に予算をかけられなくなるリスクがあるため、バランスの取れた予算計画が必要です。
プライバシーの確保が難しくなる
日当たりのよい南にリビングを配置しようとすると、どうしてもリビングが道路に面する場所になりがちです。
道路からの通行人の視線が気になったり、防犯性も考慮しなければなりません。カーテンを開けづらくなったり、洗濯物が干しにくくなるなど、生活上のストレスにつながる可能性もあります。
暑くなりやすい
南向きの家は日当たりのよさがメリットですが、反対にいえば日中は終始日差しが入り、暑くなりやすいという問題も抱えています。
たとえば南向きに大きな窓を設けると、昼間の日差しが強く、夜になっても熱がこもる可能性があります。
内装・家具へのダメージ
直射日光が家具や内装にあたると、紫外線や熱で劣化が進み、内装や家具の色あせや木材の乾燥が起こります。
遮光カーテンや紫外線をカットする「Low-eガラス」などの導入で、ある程度の対策はできますが、こうしたアイテムを使用するコストも考慮しなければなりません。
カビ・苔・結露の発生に注意
南向きの家は、北側に日があたらない場合が多く、室内が暗く、湿気が溜まりやすくなります。
その結果、北側の壁に結露が生じ、苔やカビが発生しやすくなるため、定期的な清掃や外壁メンテナンスが欠かせません。外壁に通気性の高い素材を使用すればある程度解決できますが、追加のコストが発生するため注意が必要です。
希望の土地が見つかりにくい
南向きの土地は人気が高く希少価値もあるため、理想的な土地が見つかるまで時間がかかるケースも考えられます。
土地探しに時間がかかると、家が完成するまでの期間が長引き、予定していたスケジュールに影響が出る可能性があります。
南向きの家を建てるメリット
前項では南向きの家の欠点を解説しましたが、もちろん利点も複数存在します。以下で、解説します。
採光を確保しやすい
まずメリットのひとつとして、やはり日差しが入りやすい点が挙げられるでしょう。
リビングなど家族みんなで過ごす場所を南側に配置すると、自然光がたっぷりと入り、明るい部屋で気持ちよく日中を過ごせます。南側に庭を設ければ、四季折々の植物を育てられるガーデニングスペースや家庭菜園を楽しむことも可能です。
晴れた日は電気を使わずとも十分な明るさを確保できるため、光熱費の節約にもつながります。外出が少ない方や在宅ワークをしている方にも南向きの家はおすすめです。さらに、南向きの家は、季節に関係なく快適な室温を維持しやすい利点もあります。
冬場は日中の日差しが部屋を暖めるため、暖房の使用を減らせ、エコで経済的です。洗濯物を外干しする際も、南側のスペースは十分な日光を確保でき、洗濯物が早く乾きます。ジメジメしにくく、部屋干しのストレスも軽減されるため、共働きのご家庭や家事負担を軽減したい方にも適しています。
資産価値が高い
南向きの家の価値は、資産的な視点でも大きなメリットがあります。
土地の価格は需要によって左右されますが、南向きの土地は日当たりがよいため人気があり、相対的に資産価値も高い傾向にあります。
住宅の資産価値は建物の経年劣化により徐々に減少するなかで、土地自体の価値は比較的維持されやすいため、将来的な売却や相続を視野に入れる場合、資産価値の高い南向きの家は魅力的な選択肢です。
実際に、同じ条件の土地であっても、南向きかどうかで査定額に違いが出るケースもあり、資産としての価値を考慮するうえで重要なポイントです。
南向きの家を建てるときのポイント
南向きの家には、室内が明るく、冬場も温かく過ごしやすいメリットがある一方で、夏場は室温が上がりやすく、冷房の効きが悪くなるデメリットもあります。
そこで、快適な南向きの家を作るために重要なポイントを以下に紹介します。
断熱性能を重視する
断熱性の高い家は、外の熱が室内に入りにくくなるため、エアコンが効きやすく電気代の節約にもつながります。
また、子どもが夏休みで家にいる時間が多い家庭では、断熱性が高いと頻繁にエアコンを使用する場面でも快適に過ごせます。
耐久性の高い外壁材を採用する
外壁材の耐久性は10年から12年程度が一般的ですが、南向きの家は日差しの影響をとくに受けやすいため、外壁が傷みやすい傾向にあります。
そのため、変色や褪色に強く、耐久性の高い外壁材を採用するのがおすすめです。ハウスメーカーによっては長期保証付きの外壁材もあるため、長期的な視点で考えた選択が重要です。
窓のサイズと配置にこだわる
南側に大きな窓を設置して十分な採光を確保したいときは、夏の強い日差しを遮る工夫も必要です。
たとえば、庇(ひさし)やルーバーを設けると、直射日光を和らげつつ、風とおしを確保できます。また、窓の大きさや位置は家具のレイアウトにも影響を与えるため、間取りを考える際はあわせて検討しましょう。
プライバシーに配慮した間取り
人通りや交通量の多い場所に家を建てる場合、庭や駐車場を設けて道路との距離を確保したり、フェンスを設置して外部からの視線を遮ったりする対策が有効です。
また、2階にリビングを配置すると、周りを気にせずリラックスした時間を過ごせます。
まとめ
南向きの家には日当たりや明るさ、エネルギー効率、さらには資産価値などのさまざまなメリットがあります。しかし、プライバシーの確保が難しくなったり、人気であるがゆえに土地の値段が高額になりやすかったりなどのデメリットも存在します。南向きの家のデメリットもしっかりと理解したうえでマイホーム計画を立て、後悔しない家づくりをしましょう。